ぜっぽう星人の侵略

鋭い切り口でいろいろ紹介&感想したいデス

"Rivers in the Desert"歌詞和訳【解説付き】(ペルソナ5(P5))(ペルソナ5ザ・ロイヤル(P5R))

ぜっぽう星人(Twitter@zeppousz)です。

解説と感想はネタバレを含むのでP5、P5Rの2学期をクリアしていない人は注意してください。(意訳はギリセーフ?)

ペルソナ5(P5)及びペルソナ5ザ・ロイヤル(P5R)の曲、"Rivers in the Desert"の歌詞及び和訳と解説、感想です。

ゲームの雰囲気を踏まえて訳してみました。

 

"Rivers in the Desert"

砂漠の中を流れる幾筋もの希望の川

 

作曲 目黒将司

作詞 Benjamin Franklin

歌  Lyn

 

意訳

It's now or it's never, and I've got to
Make my decision
今やるべきか、いやまだ駄目だ、

だが決心はもうとうにできているさ


This time it could be my moment

今このときこそが、それを為す機会なのかもしれない

 

Is this a mirage or a chance to fulfill my mission?
これは蜃気楼か?それとも俺の使命を果たすチャンスか?

 

A river in a dry land
渇いた大地に流れる一筋の川


The last ace in a lost hand
敗北寸前の手札に残された最後の切り札


A heartbeat for a tin man
失われてしまったブリキ男の鼓動


Oasis in a singed land
焦土の中のオアシス


I'm keeping the balance, but I'm standing
On razor's edge now
大丈夫、心は平静を保てている。だが自覚しろ、
俺は今窮地に立たされているということを


Move quick or my life is over
速く動け、さもないと俺の人生は終わってしまう


One strike, just a feint, then ...
一撃入れる、フェイントもしながら、そして


I'm outa his field of vision
おれはあいつの視界から消える


Don't ask why I'm ready but I'm ready to
Strike him down now
準備できてるかなんてわざわざ聞いてくれるな
ただ言えるのは、俺はあいつを打ちのめす準備は万全だってことだ


A chance at a new start
新たな始まりへの唯一のチャンスなんだ


There's no time for indecision
決断を迷ってる時間なんてない


A river in a dry land
乾いた大地に流れる一筋の川


The last ace in a lost hand

敗北寸前の手札に残された最後の切り札


When the hope of new beginnings burned our feet
今、新たな始まりへの希望が俺たちを滾らせ、駆り立てる


Now we need it:

俺たちには必要だ、


A heartbeat for a tin man
一度は失われてしまったブリキ男の鼓動が


An oasis in a singed land
焦土の中のたった1つのオアシスが


Remind us what we're here for:
俺たちが何のためにここにいるのか思い出せ


Creating new life
新たな人生を創る為だろう


Creating rivers in the desert
砂漠の中に未来へと繋がる幾筋もの川を創る為だ

 

My heart is a furnace,
(It's) Hot as hell in my world of conflict

俺の心は竈のようだ、

闘争心は地獄の業火の如く、熱く燃え滾っている

 

One goal is what keeps me going

お前らに勝つという目標があるからこそ、俺は前に進み続けることができる


Take back what I lost to ...
The bosses of greed and fear, yeah

恐怖で人々を支配してやがる強欲の権化共に

負けて奪われたものを取り戻せ


Don't ask why I'm ready but I'm ready to take
Them down now

準備できてるかなんてわざわざ聞いてくれるな
ただ言えるのは、俺はあいつらを打ち倒す準備は万全だってことだ


The time for a new start
Is constantly drawing nearer

新たな始まりの時は徐々に近づいてきている

 

A river in a dry land
乾いた大地に流れる一筋の川


The last ace in a lost hand

敗北寸前の手札に残された最後の切り札


When the hope of new beginnings burned our feet
今、新たな始まりへの希望が俺たちを滾らせ、駆り立てる


Now we need it:

俺たちには必要だ、


A heartbeat for a tin man
一度は失われてしまったブリキ男の鼓動が


An oasis in a singed land
焦土の中のたった1つのオアシスが


Remind us what we're here for:
俺たちが何のためにここにいるのか思い出せ


Creating new life
新たな人生を創る為だろう


Creating rivers in the desert
砂漠の中に未来へと繋がる幾筋もの川を創る為だ

 

When a cool drop of water's all I need

一滴の冷たい水が何より必要だ


Gotta clear my head of anger and greed

その水で禊をして怒りと欲を俺の頭から祓わねばならない


A place to refresh heart and mind,

感情と思考を甦らせる場所を、


Can I find

見つけることができるのだろうか


Some time in

Rivers in a dry land

いつか、見つけられるさ

この渇いた大地には幾筋もの川が流れているのだから、その中にきっとある

 

The last ace in a lost hand

敗北寸前の手札に残された最後の切り札


When the hope of new beginnings burned our feet
今、新たな始まりへの希望が俺たちを滾らせ、駆り立てる


Now we need it:

今、俺たちには必要だ、


A heartbeat for a tin man
一度は失われてしまったブリキ男の鼓動が


An oasis in a singed land
焦土の中のたった1つのオアシスが


Remind us what we're here for:
俺たちが何のためにここにいるのか思い出せ


Creating new life
新たな人生を創る為だろう


Creating rivers in the desert
砂漠の中に未来へと繋がる幾筋もの川を創る為だ

 

意訳の解説

WikiによるとRivers in the Desertというのは、旧約聖書イザヤ書に登場する英文らしい。それに由来するかもしれない、とのこと。

 

It's now or it's never, and I've got to
Make my decision
今やるべきか、いやまだ駄目だ、

だが決心はもうとうにできているさ

get to 取りかかる、達する  make a dicision 決心する

現在完了形なので完了の意味を汲んだ


This time it could be my moment

今このときこそが、それを為す機会なのかもしれない

moment 瞬間、機会

it=this time

this timeの強調とリズム取りでitを入れたのではないかと思う

 

Is this a mirage or a chance to fulfill my mission?
これは蜃気楼か?それとも俺の使命を果たすチャンスか?

fulfill 果たす

mirageは"I Believe"の歌詞でも登場します

蜃気楼とは、光が屈折してあるはずのない場所に物体が見えること。往々にして単に幻、の意味で使われる。

砂漠では木などの蜃気楼がオアシスに見えることがある。オアシスや砂漠がこの曲で出てくるので蜃気楼もセットで採用した感じか。

 

A river in a dry land
渇いた大地に流れる一筋の川

ここではまだ"A" river

 


The last ace in a lost hand
敗北寸前の手札に残された最後の切り札

この曲の中で個人的に一番好きなフレーズ

lostはボロボロの、負けたという意味の形容詞、そのあたりを踏まえ敗北寸前とした

 

切り札、つまりはジョーカーなわけです

A river in a dry landとThe last ace in a lost handは並列の関係で、絶望的な状況に残された唯一の希望のこと。

これは捕らわれたジョーカーがまさに切り札となる、例の生還トリックのことでもある。

ジョーカー(主人公)と掛けてここでこの歌詞を持ってくるのは素晴らしいセンス

 


A heartbeat for a tin man
失われてしまったブリキ男の鼓動

tin ブリキの

ブリキ男と聞いて思ったのがオズの魔法使いで出てくるブリキの木こりだった

調べてみるとブリキの木こりはもともと肉体があったが、色々あって体がブリキに代わっており、心臓(heart)がなくなって優しい感情をなくしてしまったと感じた。その失った心を取り戻す為に旅をするそうです。

 

※因みにオズの魔法使いでは他に、

勇気を失ったライオンと脳味噌を失ったカカシ【英語でScarecrow(スケアクロウ)、語源はカラス(crow)を恐れさせる(scare)】が出てくるが、獅童はライオン(彼と勇気の関係性はなさそうだが)だし、明智はクロウ(脳味噌(知性)があるキャラ)なので、関連がありそう

 

ここの2つのフレーズ(A heartbeat for a tin manとOasis in a singed land)は取り返すべき、怪盗団や世界に必要なものを表している。


Oasis in a singed land
焦土の中のオアシス

singed 焼けた

焦土とは焼けた大地の意味


I'm keeping the balance, but I'm standing
On razor's edge now
大丈夫、心は平静を保てている。だが自覚しろ、
俺は今窮地に立たされているということを

直訳:バランスは保っている、だが今俺はカミソリの刃の上に立っている

razor カミソリ 

razor's edgeで窮地というイディオム


Move quick or my life is over
速く動け、さもないと俺の人生は終わってしまう

命令文, or~の形


One strike, just a feint, then ...
一撃入れる、フェイントもしながら、そして

フェイントというのは認知のジョーカーのことでしょう


I'm outa his field of vision
おれはあいつの視界から消える

hisとは明智であり、獅童のこと


Don't ask why I'm ready but I'm ready to
Strike him down now
準備できてるかなんてわざわざ聞いてくれるな
ただ言えるのは、俺はあいつを打ちのめす準備は万全だってことだ

直訳:何故準備万端なのかは聞くな、でも今は彼を打ちのめす準備は万端だ

いつでもいいからさっさと始めるぞ、的なニュアンス


A chance at a new start
新たな始まりへの唯一のチャンスなんだ


There's no time for indecision
決断を迷ってる時間なんてない


A river in a dry land
乾いた大地に流れる一筋の川


The last ace in a lost hand

敗北寸前の手札に残された最後の切り札


When the hope of new beginnings burned our feet
今、新たな始まりへの希望が俺たちを滾らせ、駆り立てる

直訳:新たな始まりへの希望が俺たちの足を燃やすとき

when ~するときの(接続詞)

~駆り立てるときには、itが必要だ、と次の歌詞に繋がるのだと思う


Now we need it:

俺たちには必要だ、

このコロン(:)は定義や例を以下示すときに使う

つまりはitが、以下の2つのフレーズだということ


A heartbeat for a tin man
一度は失われてしまったブリキ男の鼓動が

文の繋がりを考え少し訳を追加し意味の補足

必要なものその1


An oasis in a singed land
焦土の中のたった1つのオアシスが

さっきはなかったanが追加されているのでたった一つの、を追加

必要なものその2


Remind us what we're here for:
俺たちが何のためにここにいるのか思い出せ

what we're here for=the thing which we're here for

つまりthe thing which we're here for(俺たちが何のためにここにいるのか)とは、以下に示すものである、という意味


Creating new life
新たな人生を創る為だろう


Creating rivers in the desert
砂漠の中に未来へと繋がる幾筋もの川を創る為だ

今まではa riverだったがここでriversになる。

みんなの希望を創る、という意味での複数形だと思う。

 

My heart is a furnace,
(It's) Hot as hell in my world of conflict

俺の心は竈のようだ、

闘争心は地獄の業火の如く、熱く燃え滾っている

直訳:俺の心は竈だ、それは俺の争いの世界の中で地獄のように熱い

furnace 竈、炉 hell 地獄 conflict 対立、戦争

 

かなり意訳になったが、そのままだといまいち的を得ない為、思い切って闘争心と訳した。

炭〇郎のおかげで竈の読み方は日本人に定着しただろう。GJ!

 

One goal is what keeps me going

お前らに勝つという目標があるからこそ、俺は前に進み続けることができる

直訳:目標は、自分を前に行かせ続けるものである
keep O ~ing Oに~させておく

本来の形はOne goal is the thing which keeps me going

目標は~するものです、という文構造


Take back what I lost to ...
The bosses of greed and fear, yeah

恐怖で人々を支配してやがる強欲の権化共に

負けて奪われたものを取り戻せ

take back 取り戻す lost to ~に負ける boss ボス greed 強欲

fear 恐れ、恐怖

さっきとおなじwhat


Don't ask why I'm ready but I'm ready to take
Them down now

準備できてるかなんてわざわざ聞いてくれるな
ただ言えるのは、俺はあいつらを打ち倒す準備は万全だってことだ

strike him downからtake them downに代わっているので

獅童明智をセットにして対象にしている


The time for a new start
Is constantly drawing nearer

新たな始まりの時は徐々に近づいてきている

constantly 絶えず draw 近づく nearer nearの比較級

 

A river in a dry land
乾いた大地に流れる一筋の川


The last ace in a lost hand

敗北寸前の手札に残された最後の切り札


When the hope of new beginnings burned our feet
今、新たな始まりへの希望が俺たちを滾らせ、駆り立てる


Now we need it:

俺たちには必要だ、


A heartbeat for a tin man
一度は失われてしまったブリキ男の鼓動が


An oasis in a singed land
焦土の中のたった1つのオアシスが


Remind us what we're here for:
俺たちが何のためにここにいるのか思い出せ


Creating new life
新たな人生を創る為だろう


Creating rivers in the desert
砂漠の中に未来へと繋がる幾筋もの川を創る為だ

 

When a cool drop of water's all I need

一滴の冷たい水が何より必要だ

ここで曲調がガラッと変わる。

今までの闘争心を掻き立てる曲調から、まさに荒れた世界の中のオアシスのような清く、澄んだ雰囲気になる。

歌詞とリンクしています。

 

whenは同じく~するとき、か。

なくてもいいくらいの意味だと思ったので訳さず。


Gotta clear my head of anger and greed

その水で禊をして怒りと欲を俺の頭から祓わねばならない

gotta have to、got to ~しなければならない

clear A of B AからBを取り除く


A place to refresh heart and mind,

感情と思考を甦らせる場所を、

heartは心臓、感情

mindは思考、理性


Can I find

見つけることができるのだろうか


Some time in

Rivers in a dry land

いつか、見つけられるさ

この渇いた大地には幾筋もの川が流れているのだから、その中にきっとある

直訳:いつか(見つけられる)、乾いた大地に流れる幾筋もの川の中で

 

厳密には

some timeはしばらくの間

sometimeはいつか

という意味だがネイティブでも混同する方が多いそうですし、調べた感じ、もはや区別せずに使われている。

なのでここではいつか、と訳すことにした

 

The last ace in a lost hand

敗北寸前の手札に残された最後の切り札


When the hope of new beginnings burned our feet
今、新たな始まりへの希望が俺たちを滾らせ、駆り立てる


Now we need it:

今、俺たちには必要だ、


A heartbeat for a tin man
一度は失われてしまったブリキ男の鼓動が


An oasis in a singed land
焦土の中のたった1つのオアシスが


Remind us what we're here for:
俺たちが何のためにここにいるのか思い出せ


Creating new life
新たな人生を創る為だろう


Creating rivers in the desert
砂漠の中に未来へと繋がる幾筋もの川を創る為だ

 

感想

無印P5では主人公の仇であり全ての元凶、獅童正義戦で初めて流れるこの曲。

最初はinstrumental.verで途中からボーカル有りになったときの盛り上がりはP5を語る上では外せないポイントであろう。

歌詞もストーリーとリンクしており、和訳を知らずに済ますには惜しい一曲。

ボーカルのLynさんの声の魅力、迫力が一番生かされているのはこの曲ではないだろうか、と個人的には思います。

曲の話をすると、

1番のみ、まず一回目のA river in a dry land、The last ace in a lost handときてWhen the hope of new beginnings burned our feetと続かずに一度サビの最高潮を"おあずけ"されるような曲進行になっている。日本の曲は

AメロBメロサビAメロBメロサビCメロラストサビ

という構成が多い(一方で洋楽はサビの概念があまりない)。そして、目黒さんの作るペルソナの曲は歌詞こそ英語だが曲の構成は所謂日本の曲のものが多い。

だが、この"Rivers in the Desert"に関しては前述したとおり少しトリッキーな構成になっており、2巡目の

Remind us what we're here for:~Creating rivers in the desert

あたりのフレーズが映える。これが素晴らしい。