ぜっぽう星人の侵略

鋭い切り口でいろいろ紹介&感想したいデス

「半落ち」の紹介(ネタバレなし)と感想、考察

横山秀夫の「半落ち」の、読んでいない人向けの紹介と読んだ人向けの感想及び考察です。

 

紹介(ネタバレなし)

「妻を殺しました」。現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの2日間の行動だけは頑として語ろうとしない。梶が完全に“落ち”ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは――。日本中が震えた、ベストセラー作家の代表作。2003年このミステリーがすごい! 2002年週刊文春ミステリーベスト10 第1位。

半落ち横山秀夫講談社文庫)

 


秘匿された2日間の謎を巡る、涙を誘う系の話。

内容の雰囲気的には容疑者xの献身とかに近い。感動的な話が読みたい方におすすめ。

ただ、あまりミステリーという感じではないので、ミステリーを求めている方は注意。

私の個人の評価は

3.5/5といったところ。

 

 

感想、考察

章ごとに本筋となる梶事件に関わる取調官、検事、記者、弁護士、裁判官、看守の一人称で書かれている方式。全員保身に走らず、真実を解き明かそうとする側の人物という共通点があり、様々は方面からの事件の見え方が描かれており、面白かった。

1〜4章でみんなが真実を解き明かそうとしていたので、裁判官編で真実が明かされるのかと思いきや、前半の取調官、検事、弁護士はみんなダンマリだった、という流れはなかなか考えられていると感じた。彼らは真実に気付いたからこそ、本当のことを暴こうとはしなかった訳ですね。読んでいる側としては、裁判でスッパリと明らかにしてくれ!と思うのだが(これは裁判官も同じ心情で、裁判官に感情移入して読めるようになっている)、最後の章を読んで真実が分かると、今度は逆に黙っていた彼らの心情に納得できる、という流れ。

警察や検察内部のゴタゴタも適当にごまかすのではなくしっかりと書かれていて、実際にあるかは分からないが、社会の闇をリアルに感じた。

オチまでが丁寧に描かれていて面白かったのもあって、オチに期待させられすぎたのか、正直弱いと感じてしまった。

もちろん辻褄は合っているし自然なのだが、衝撃はそれほどないという感じでした。

かといってあれ以上の落とし所はなかなか難しいとも思うので、ある程度仕方がない部分もあるのかなぁと思ったり。

ミステリーとして読んでしまったのが良くないかもしれない。