ぜっぽう星人の侵略

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"Heaven"歌詞和訳【解説付き】ペルソナ4(P4)

ぜっぽう星人(Twitter@zeppousz)です。

"Heaven"の歌詞を和訳しました。作中屈指の名曲で、先日youtubeで公開されていた公式ランキングでは3位の曲です。

ゲーム中で流れるのは1番までなのですが、reincarnationでは2番以降が追加されています。

2番まで訳しています。

知らない方はheaven reincarnationで調べてみてください。すばらしいアレンジで、必聴です。

解説にはネタバレありです。

I can't get my mind out of those memories
あの日々の思い出が忘れられないの

 

Now time to tell them, "Don't take my dream"
「私の夢を奪わないで」なんて素直に言っていいのかな

 

Still music keeps on turning me from the words that hurt my soul
あの音楽だけがずっと、魂を傷つけてくる言葉から私を守ってくれる

 

Removing doubts from my mind
私の心から嘘を取り除いてよ

 


Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく

 

Finding ways through the favorite tune, play all day with my eyes closed
道を見つけるの
目を閉じて毎日聞いていた、あの大好きな曲を頼りに

 

Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく

 

Finding ways through the favorite tune, filling me with those sounds
道を見つけるの
私を心地よい音で満たしてくれる、あの大好きな曲を頼りに

 


I can't remember the smile that you gave it to me
あなたが私に微笑んだ顔、それがどんな顔だったか思い出せない

 

I have no way to tell you, "Don't walk away"
「遠くに行かないで」って伝える方法がないの

 

Still sorrow keeps on tying me But my soul wants to get free
あなたを失った悲しみがずっと私を縛り続けている、
でも私の魂は自由になりたいって望んでいる

 

Let my heart loose from a chain
私の心を鎖から解き放ってよ

 


Those long days passing by from that door, like frail snow they slowly disappear
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは儚い雪のようにゆっくりと消えていく

 

Finding ways through the favorite vox, cocoon me in floaty bliss
道を見つけるの
私をふわっとした温かい幸せで包んでくれる、あの大好きな声を頼りに

 

Those long days passing by from that door, like frail snow they slowly disappear
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは儚い雪のようにゆっくりと消えていく

 

Finding ways through the favorite friends, filling me with warm embrace
道を見つけるの
私を温かく抱きしめてくれる、大好きな友達を頼りに

 


Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく

Finding ways through the favorite tune, play all day with my eyes closed
道を見つけるの
目を閉じて毎日聞いていた、この大好きな曲を頼りに

Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく

Finding ways through the favorite tune, filling me with those sounds
道を見つけるの
私を心地よい音で満たしてくれる、この大好きな曲を頼りに

 

訳の解説

ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

基本的には直訳ベースで訳しています。が、どうしても意味が分かりにくいところは意訳を入れています。

菜々子ダンジョンでながれる。
Heavenは菜々子の母、堂島千里がいる天国のことである。
和訳してみると、この曲は菜々子が母親への思いを歌った曲であると思われる。
菜々子は母親にピアノを教わっていた、とのことだったので昔母に教えてもらった曲と考えることもできる。
実際に原曲でもreincarnation版でもピアノが使用されている。
原曲では1番しか歌詞がないが、reincarnation版にある2番目も訳しました。
reincarnation版はピアノがより強調され静かなジャズ調になっている名曲。必聴です。


 I can't get my mind out of those memories
あの日々の思い出が忘れられないの
直訳
あの思い出を頭の中から追い出すことができない

get ~ out of one's head
頭の中から追い出す

母がいた日々の思い出が忘れられない、ということ


Now time to tell them, "Don't take my dream"
「私の夢を奪わないで」なんて素直に言っていいのかな
ここは解釈が難しい。
themが誰なのか。
母の命を奪った犯人や自分を拉致した犯人に言っている?
急に具体的すぎる上にこれ以降このthemに当たる人物らは出てこないので行き場のない悲しみを不特定多数のthemに言っている、ともとれるかも。

 

Still music keeps on turning me from the words that hurt my soul
あの音楽だけがずっと、魂を傷つけてくる言葉から私を守ってくれる
直訳
まだ音楽が私を背けさせてくれる、私の魂を傷つける言葉から

turn from ~から~を背けさせる
ここも唐突でよく分からない。
完全に想像になるが、
母を失った菜々子は少なからず「かわいそうに」、とか「お前の母さんいねーんだな」みたいな悪意のある言葉を言われてきたと思う。
菜々子は強いのでそれを表に出すことはなかったが。
母が教えてくれたこの音楽(Heaven)を心の拠り所として耐えていた
と、考えている。

また、P5Rの"No More What Ifs"でも同様だが、songではなくあえてmusicを使っているのは、
歌詞のない曲に歌を乗せて菜々子が思いを綴っている、という意味を出すためではなかろうか。
(songとmusicでは音節数が違うのでリズムへの乗せやすさもあると思うが。)

 

Removing doubts from my mind
私の心から嘘を取り除いてよ

嘘、とはさみしいなんて言わない菜々子の言葉のことだと思う。
実際は母を失った悲しみを吐露したい、という気持ちがあるのでは。


Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく
直訳
あのドアから過ぎ去っていく日々
それはゆっくりと消えていく夏の終わりのようだ

pass by (句自動詞)過ぎ去る、通りかかる
late summer 晩夏、夏の終わり
fade away消えていく

 

正直なところ、ここは意味的にも文法的にも難しく(よくわからなく)、解釈が正しいか怪しい。解説がとても長くなる。

 

まずThose long days passing byは、Those long days がingで説明された主格となっていると思われる。
なので文構造は
S1, like S2 (S2 V)と初めは考えた。
S1=days, S2=summer


こう考えると、(SV)が直前のSを修飾していて
「日々は夏に似ている。どんな夏かというとゆっくりと消えていく夏」
という構造になる。


しかし、
summerは不可算名詞なのでこのときは代名詞はitになるはず。つまり後半の
theyはThose long daysであると考えられる。
つまり、
日々は夏に似ている。その日々はゆっくり消えていく。
となる。

 

もしかすると単にitよりもtheyがリズム上歌いやすいとか、ただのミス、とかもありそう。

さんざん書いたが、
どちらにせよlikeによってdays とsummerはほぼ同じとして扱われているので意味上はどっちの解釈をしようがあまり変わらない。

 

それよりも大事なのは、唐突に出てくるドアの意味。
これ以降全く出てこないのでここだけで意味を考える必要がある。
今回は
ドア、を心のそこにしまってある思い出が入っている箱のようなもののドア。そのドアを開けると思い出(日々)が出てくる。と解釈した。
調べたところドアは概念的に使われることがあるらしく、日本語でも心の扉、心のドアという表現もあるので、
①心の奥深くにしまっている思い出へ通じるドア、をイメージして作詞されたのではないでしょうか。
もう一つの解釈としてはThose long days passing by from that doorを直訳通りに
「あのドア(の記憶を最後にそこから)過ぎ去っていく日々」と考え、
②菜々子の母の最後の記憶である、ドアの向こうにいる母、だと考える説。
母は冬のある日に菜々子を保育園に迎えに行くときにひき逃げにあったとのことだったので、
菜々子が行ってきますと家を出るときにドアの隙間から見えた母のほほえみが菜々子の記憶に写真のように残っていて、
そのドアの記憶を境に母がいなくなってしまい、思い出となっている
とすると一応納得感はある?

2番に母が私にくれたほほえみが思い出せない、とあるし、
後述するが、reincarnation版で追加された2番ではこのsummerがsnowになっており

Those long days passing by from that door, like frail snow they slowly disappear
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは儚い雪のようにゆっくりと消えていく

という訳になっている。
すると冬の日に亡くなった、ということを踏まえ、その日は雪が降っていてそれと一緒に儚く母も消えてしまった、と考えることもできる。
ただそこまでイメージして作詞されていたとすると、あまりにも具体的すぎるし美しすぎるので、原曲の時点で採用されていそうである。


2番が原曲のの時点で考案されていたのか、それともreincarnation版の時点で作られたのか、それとも案としては原曲時点からあったのか分からないが、
少し想像しすぎなような気がしたため、1番目の解釈を採用した。
長くなったが、以上。


Finding ways through the favorite tune, play all day with my eyes closed
道を見つけるの
目を閉じて毎日聞いていた、あの大好きな曲を頼りに
直訳
道を見つけるの、お気に入りのメロディーを通じて
目を閉じて毎日聞いていたその旋律を

play 自 出る、鳴る
tune 旋律 節 ワンフレーズみたいなニュアンス。ここではその曲の一節のこと。

前に、
Still music keeps on turning me from the words that hurt my soul
と出てきたが、ここではtuneに代わっている。
このへんの曲を表す英語を整理すると、
songは歌付き全体、musicは歌なし全体、tuneは曲の一部のメロディー、というニュアンス。
ここではつい口遊んでしまうある部分のメロディーという意味なのではないか。
大好きな曲を思い出すときにはぱっとあるフレーズだけが浮かんでくるのが自然なので。

 

Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく
繰り返し

 

Finding ways through the favorite tune, filling me with those sounds
道を見つけるの
私を心地よい音で満たしてくれる、あの大好きな曲を頼りに

 


I can't remember the smile that you gave it to me
あなたが私に微笑んだ顔、それがどんな顔だったか思い出せない
直訳:あなたが私にくれたほほえみが思い出せない
remember 基本は覚えている。覚えている、思い出す
smile 名 ほほえみ、微笑、(声が出ないヤツ)

言うまでもないが、母の笑顔のこと。

前述したがもしかしたらドアの隙間から見えた最後の行ってらっしゃいの笑顔かも。。。
だとしたらなんというかすごくいいですね。

 

I have no way to tell you, "Don't walk away"
「遠くに行かないで」って伝える方法がないの
away 副 離れて

Still sorrow keeps on tying me But my soul wants to get free
あなたを失った悲しみがずっと私を縛り続けている、
でも私の魂は自由になりたいって望んでいる
sorrow は親しい人を亡くしたり,不幸なことに対する悲しみを表わす一般的な語
tying : tie の現在分詞

 

Let my heart loose from a chain
私の心を鎖から解き放ってよ
loose 解き放つ
悲しみが心を縛っている、その鎖のこと

 


Those long days passing by from that door, like frail snow they slowly disappear
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは儚い雪のようにゆっくりと消えていく
frail もろい はかない 実体のない 虚弱な
snowもここでは不可算名詞のはずなので、1番のsummer同様、後半のtheyはsnowではなくdays

 

Finding ways through the favorite vox, cocoon me in floaty bliss
道を見つけるの
私をふわっとした温かい幸せで包んでくれる、あの大好きな声を頼りに
直訳
道を見つけるの、お気に入りの声を通じて
その声が私をふわっとした喜びの中に私をくるんでくれる

cocoon 他 ~を心地よくくるむ bliss 至福 この上ない喜び floaty ふわっとした

暖かいと温かいの違いは
暖かいは寒いの対義語で
温かいは冷たいの対義語。
また、温かいは心で感じる温かさのときにも使う。
ここでは心で感じる幸せのことなので温かいとした。
温かいにあたる言葉は歌詞にないのだが、blissをただ単に喜びとすると文語感(改まった感じ)が出すぎてしまったので追加した。
ここでは
1番のtuneからvoxに変わっている。
これは母の声のこと。
何かの曲(この曲Heaven自体の可能性が高い)に乗せた母の声、と考えるのが自然か。

 

Those long days passing by from that door, like frail snow they slowly disappear
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは儚い雪のようにゆっくりと消えていく

 

Finding ways through the favorite friends, filling me with warm embrace
道を見つけるの
私を温かく抱きしめてくれる、大好きな友達を頼りに
直訳:私を温かい抱擁で満たしてくれる、大好きな友達を頼りに道を見つけるの
embrace 抱擁

 

 

Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく

 

Finding ways through the favorite tune, play all day with my eyes closed
道を見つけるの
目を閉じて毎日聞いていた、この大好きな曲を頼りに
少し主観が入っている気もするが、
これだけmusic, tune, voxとくるとHeaven自体がこのtuneなきがしてならないので、1番ではあの、だったがこの、にしてみた。
ここのフレーズを最後に繰り返していることを考えると、
初めはうろ覚えで「あの曲」だったのが
終盤にはっきりと思い出し、「この曲」になり、
お母さんとの思い出だと思って大事にしながら(through:~通じてにこの意味が含まれる)
悲しみを乗り越え道を探していくよ、
という意味に思える。


Those long days passing by from that door, like late summer they slowly fade away
あのドアの隙間から見えるのは過ぎ去っていった日々
それは夏の終わりのようにゆっくりと消えていく

 

Finding ways through the favorite tune, filling me with those sounds
道を見つけるの
私を心地よい音で満たしてくれる、この大好きな曲を頼りに

 

感想

ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

いままでギラギラした曲調でいかにもダンジョンって感じだった曲が、

突然こんなにもゆったりで包み込まれるような(coccon)、さらにしっとりボーカルな曲になるという演出。

すばらしいの一言です。

このやり口は5でも受け継がれていますね。

歌詞についても菜々子のこころの深くの思いが歌われていて、すごく悲しいけど心地よい気持ちにさせてくれます。

なによりreincarnation版のジャズアレンジも素晴らしい。

ボーカルの平田さんも歌い直しており、力の入れ方がすごいです。

 

 

 

ペルソナ4 9巻

曽我部 修司  原作/ATLUS より

 

いいですねこのイラスト...このナナコンどもめ!

 

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